【連載】ブライダル自社集客向上の手引き①

  • 2023/01/27
     

 ※こちらの内容はブライダル産業新聞で連載した内容を転記しております※

 皆さんはじめまして、メディアハウスホールディングスの中山です。

 当社はブライダル業界に特化してWEB集客を支援しています。今回から全6 回の連載で、ブライダル業界の自社集客強化をテーマに、すぐに実践できる最新TIPSや陥りがちなミスなどのコンテンツを届けたいと思っています。宜しくお願いします。

ブライダル業界のWEB広告の最新トレンド進む「集客手法のゲームチェンジ」

 Google社と弊社で行った協働調査データでは、式場側のWEB広告投資は、2020年比で300%超にも伸びていることがわかりました。コロナ禍に入り全体の広告宣伝費が減少している中でも、多くの式場が自社集客の強化に乗り出しているという結果となっています。またユーザーの会場検討行動について調査したところ、会場の認知きっかけとして、自社サイトがポータルサイトの1.3倍利用され、予約アクションの出口についても、自社サイトがポータルサイトの約半数に上るという結果となりました。

 式場側の集客施策の変化とユーザーの変化の両面から、「業界の集客手法のゲームチェンジ」が起きていると考えられます。少し前までは競合に先んじて自社集客に力を入れるというフェーズでしたが、現状では競合会場も実施している前提で「どう使いこなして勝つか」を考えるフェーズに移行していると言えるでしょう。

WEB広告で陥りがちな失敗例

 当社への相談の際に「過去WEB広告を実施してみたけれどいまひとつだった」という声を多く耳にします。何がダメだったのか?も明らかになっておらず、検証自体が不十分であるケースも多くありますが、それを除くとこのようなパターンが多いのではないかと思います。

① 試しに「SNS広告」だけ実施したケース

 SNSは新郎新婦の求める情報が溢れており、式場の認知施策としては有効なツールです。しかし、SNS広告だけを投下しても、すぐには予約アクションに結びつかないことがほとんどです。仮にSNS広告だけを実施した初期の検証ポイントは、予約アクション数ではなく、クリック数や予約に繋がるきっかけになっているか(アシストコンバージョン)という観点になるべきだと思います。この検証ポイントを飛ばして予約獲得数だけで評価してしまっているケースが多い印象があります。また、予約数の増加を期待するのであれば、認知施策に加えて、アクション獲得用の検索広告やリターゲティング広告を併用し、認知~獲得までの導線設計を行うことが理想的な広告設計となります。

② 試しに「検索広告」だけ実施したケース

 検索広告だけを効果的に活用して成功している式場も多くあるので、ここではキーワードと知名度という観点で伝えます。式場のCV(コンバージョン)に繋がる検索キーワードは、90%以上が式場名の指名検索と地名×結婚式のようなエリア検索であるということがわかっています。このポイントを把握せず、闇雲に検索広告を実施してしまうことで、CVに繋がる可能性の低いワードに予算を割き、確実に抑えたいワードが手薄となってしまっている案件を多く目にします。検索広告を有効に活用する際は、まずは指名検索とエリア検索で消化する予算を決め、そのうえで他のキーワードにかける予算を設定することが重要です。また、地域の大人気会場やブランド系ホテルを除いて、一般的な式場では指名検索自体のボリュームが少ないことも多いです。将来の指名検索増に繋がるよう、その前段階の認知施策をどう設計しておくのかも、中長期的な効果を左右するポイントになります。

③ 自社HPのCVRを把握していないケース

 非常に重要ですが、見逃している会場が多いポイントです。いかに優れたクリエイティブ、広告でユーザーをサイトに連れてきても、自社HP自体のコンテンツ・ユーザビリティが低ければ、予約に繋がらず、穴の開いたバケツに一生懸命水を入れているような状態になりかねません。フェアページへの遷移率、フェアページからのCVR(コンバージョン率)が適正かを見極めておく必要があります。例えばフェアページからのCVRは、2%前後は維持したい指標と言えます。また、TOPページからのサイト全体のCVRは把握しているケースもありますが、新郎新婦だけではなく、招待ゲストの閲覧者も多く含まれます。そのため施行の多い人気会場ほど、ゲスト検索が多い分だけCVRが低いという傾向が出てしまい、あてにならない指標となってしまう可能性もあると言えるでしょう。