【連載】ブライダル自社集客向上の手引き③

  • 2023/01/27
     

検索広告は無駄クエリの排除がポイントになる

 ※こちらの内容はブライダル産業新聞で連載した内容を転記しております※

 第三回の今回は最もポピュラーで多くの会場に利用されている「検索広告」について、ブライダル特有の観点を交えて紹介していきます。

 顕在層の獲得に少額から効く集客手法 。他社への水漏れを止める「守り」の役割 

 検索広告は、ユーザーが能動的に情報を探し ているタイミングで広告を表示できるという観点から、顕在層の獲得に最も効く手法として業界を問わず多くの事業者に利用されています。 なぜブライダルでは「守り」という役割なのか。 Googleの調査によると、式場のCV(コンバー ジョン)に繋がる検索キーワードは、90%以上が式場名での「指名検索」と、地域×結婚式の ような「エリア検索」であるということが分かっています。つまり、自社では検索広告を未実施または強化せず、一方で周囲の競合会場が熱心に取り組んでいる場合、本来自社で獲得できる可能性の高いユーザーを他社に取られてしまっているという状況になりかねません。

 まず は自社の「指名検索」と商圏内の「エリア検索」がどの程度のボリュームがあるかを把握し、最 低限この2種類の検索キーワードの守りを固めるだけでも、多くの予算をかけずに年間で数十件のCVを得ることも十分に可能であります。

検索クエリ(検索語句)の“集中と選択”  磨き込みが成果を大きく左右するポイント

 前述のように、費用対効果高く検索広告を運用するには、設定する検索キーワードの精度がとても重要な要素と言えます。ありがちなミス としてCPC(クリック単価)は優秀ですが、CVに繋がっていないというアカウントがあげられます。エリアの水準と比較しても異常にCPCが低い場合は、本命で上位表示させたいキーワー ドではなく、関連度の低いキーワードや、「結婚式 服装」のように招待ゲストの検索クエリに多くの広告費を費やしてしまっているということが考えられます。

  また、ホテルやレストランなどの婚礼非専業の業態では、闇雲に「指名検索」と「エリア検索」を実施してしまうと、「Aホテル 宿泊」のような一般客の検索を多く拾ってしまうことが考えられます。ウエディング以外の検索クエリは、事前にどんなキーワードで自社が検索されているかを調査し、配信前に一掃しておくことが望ましいと言えます。 検索広告でCVが発生しない原因は、前述のように強化したいキーワードに十分な予算をかけ られず、意図しないキーワードに予算が消費されているケースがほとんどです。不要な検索語句をあらかじめ削ることは最低限実施し、配信開始後にも細かく不要キーワードの除外を重ね、いわゆる無駄クエリを排除し続けることが成果を左右するポイントと言えるでしょう。

入札戦略・最適化を使いこなし機械学習を進め、より高効率な配信へ

 WEB広告で成果をあげるうえで、各媒体の機械学習を使いこなすことは必須の運用スキルと言えます。広告媒体の機械学習とは、どんなユ ーザーに広告を多く配信したいかを広告媒体に学習させ、より自社と親和性の高いユーザーに対して広告表示を強化する仕組みです。

 多くの会場でCVに至ったユーザーに最適化を掛けたいというのが本音かと思いますが、月に何百件も CVが発生しないブライダル業界では、単純に予約に至ったユーザーだけではデータ量が不足し、機械学習に時間を要することがあります。時にはフェア詳細画面や予約フォームなどのCV一歩手前のページに到達しているユーザーにまで範囲を広げ、最適化の対象とするのが望 ましいケースも多く見受けられます。

単純な検索広告の予算増加は危険。検索ボリュームに応じた打ち手の選定が必要

 冒頭で話したように、「指名検索」「エリア検索」はCVにも繋がりやすく、比較的短期間で成果が表れることが多いです。ここで気を付けたいのが、それぞれの最大の検索ボリュームに対して、どの程度の予算を投資しているのか、というポイントです。 現在投資している予算に対して、まだまだ検索ボリュームに白地がある場合は、増額した分だけCVの増加が期待できます。一方で検索ボリュームに対して白地が少ない場合は、予算を増額しても「そもそも予算を使いきれないこと」や、もっと悪い場合では「無駄クエリへの予算消化が増えるだけ」ということも起こり得ます。

  CVの多くは「指名検索」と「エリア検索」であるという前提を抑えたうえで、更なる獲得の増加を狙う場合は、動画広告やディスプレイ広告などの効果的に認知を広げられる広告メニューを活用し、将来の指名・エリア検索を増やす施策を行うことが最適な広告戦略であります。